とりあえず、私はまたイチャイチャ始めようとした両親の部屋を出て、自室に戻るために歩き出す。
マジでどうしよう。
会うって決めたからには会う。
けど、運命とか言って断ったら何様だよってなるだろうなぁ。
いくら母がシンデレラでも。
そうなったら国がやばいか。
どうしたもんか………。
あ、そういえば婚約者が誰か聞かなかった。
しくじった……。
…………っていうか両親は何か策でもあるのか。
なんか、自信有り気だったけど。
うーん、と唸っていると、2羽の小鳥が飛んできた。
そして私の左右の肩に止まる。
『エル様エル様!聞いたよ!婚約!』
『ね!相手は誰?だれ?』
どうや小鳥たちは部屋の窓から聞いていたようだ。
私は生まれた時から動物と意思疎通がとれるようで、こうして動物たちから話しかけてくれる。
これに関してはどうやら母の遺伝のようだ。
何度か母が鳥たちに頼み事をしているのを見たことがある。
『あ!私知ってる!』
「え?何が?」
『婚約者だよ!婚約者候補!!』
え。
小鳥さんが知ってて本人である私が知らないとはどういうこと。
『隣国の王子さまなんだって!今準備してるらしいもん!』
『へぇ!すごいすごい!イケメン?イケメン?』
王子か。
………………断れないじゃん。
戦争が起きるぅぅううう。
『あれ、でもエル様は結婚したくないんだよね?どうするの?』
「どうしよう……」
今回の話、どっちから持ちかけたかも重要だけど、どっちにしろ了承してるわけだし。
問題は、残るよね。
『嫌なら断れば?シンディ様も言ってたし』
「もしそれで戦争でも始まったら!?私責任取れないよ!?」
私の首を差し出せとかならまだマシかもしれん。
『じゃあ、相手に振らせるとか?』
…………………………お?
おおお?
それは、いい案かもしれない。
私じゃなくて相手に結構ですと言わせる!!
丁度というか、私は愛想笑いできないし、第一印象は大事でしょ!!
「よっしゃ!」
『………なんか決まったのかな?』
『みたいだね』
よし、そうと決まれば………………どうしよう?
「……うぁぁ……」
好かれる努力も嫌われる努力もした事ないし。
周りには嫌われてる人もいない。
つまり?
………………どうやって嫌われるの!?
普通の人であれば決して考えないようなことで悩むことに。
『……エル様って忙しいね』
悩みがなくなったとたん、新しい悩み事が浮上した。