人生最大。
ショックがデカすぎる。
女の人生最大イベントとも言える結婚、その前段階である婚約がこんな突然。
まだ結婚したくないんだけど。
私まだ17…。
そうよ、私まだ17!!
「私まだ17歳なんだけど!?」
そんな私の切実な叫びは母に一蹴された。
「だから?私がお父様と婚約したのも17よ?ついでに結婚したのも。あ、貴女を産んだのが…確か21ね」
そんなどうでもいい発表に食いついたのは父で。
「おや、つまりシンディ。君は今年38になるのかい」
「きゃあ!お父様たらやめて!」
「何を恥ずかしがってるんだい?いくつになっても君は…」
「ああああああ!もう!!!」
続きを聞くのは全力で拒否させていただく。
「はぁ。とにかく、もう諦めなさいな」
「だって結婚なんてしたくないもの!」
私がストレートに言うと、母は美しい顔を少しだけ寂しそうにゆがめて、父の膝から降りて近づいてきた。
「いーい?エル。貴女の気持ちを聞かなかったこと、申し訳ないと思っているわ。でもお願い。会うだけ会ってみて頂戴。お断りするのはそれからでもいいのよ?」
「でも」
母の言葉に、少し会ってみるだけ、なんて思うけど。
「断るなんてできないでしょ」
相手によっては断ることができないかもしれない。
断った場合、最悪戦争とかいう問題があがるからだ。
それはお母様だってわかってるでしょ?
「いいえ。そうねぇ。運命でなかったと言えば?断れるわよ」
「……………」
確かにこの人の運命はでかいわな。
ただの貧乏少女が妃に、これ以上の運命があるかね。
「ね?お願い」
「………………わかった。会うだけね」
どうも私は母に逆らえたことがない。
この綺麗な顔でされるお願いに弱いのだ。
私は結局、ほっとしたような母の顔を見て、ばれないようにため息を付くしかなかった。


