「お母様!お父様!?」
侍女のマーガレットと別れ、歩きなれたお城の廊下を全力疾走。
そして過去最速記録でたどり着いた両親の部屋では。
「おやおや、どうした、エルネスタ?可愛い顔が台無しだ」
と、母を膝にのせ抱きしめている父に笑われ
「まぁ、廊下を走るなんて。王女としてみっともないわ」
と、父の上で抱きついている母にたしなめられた。
やめてよ2人とも、いい歳してイチャイチャを子供に見せないでください。
と言いたいのをこらえて、代わりに本来ここにきた目的を。
「婚約ってどういうこと!?」
私の切実な叫び声に、ぱちくりと目を瞬いた両親は。
「あらお父様、言ってなかったの?」
「シンディが伝えると思ったんだけどなぁ」
と、和やかに言った言ってないと確認をとってから。
「あー、すまん。本人に言ってなかった」
最終的に1番大事な人を吹っ飛ばしていたということにたどり着いた模様。
しかしそこに申し訳なさも慌てるということもなく。
「まぁどっちにしろNOとは言えないし、言ったところで変わんないっちゃ変わんないっていうか?まぁそういうことで」
すっごく雑に了承しろと押し付けてきた。
いやいや、娘の人生勝手に決めんなや。
それでも親かアンタら。
あの伝説の夫婦か。
いや本当に運命どこへ。
急な展開に頭が付いていかず、抗議の言葉すら浮かばない私に、母が追い打ちをかける。
「とりあえず、婚約者候補の3人は明後日着くみたいだから、用意しておいてね」
ちょいまてい。
いやまって?
ほんとに待とうか。
そこで、さっさとイチャつき始めないでって。
1人娘の話を聞いてくださいよ。
「明後日!?知ったの今で来るのが明後日!?」
「仕方ないじゃない?」
何がどうなってどう仕方ないのかなお母様。
そしてまたイチャイチャ始めない。
フリーズしてる娘を気にかけて。