ヒステリーな弟と、ある意味で恐怖対象である兄が部屋から出ていったあと。







ギルバートは首を左右に揺らし、コキコキと鳴らした。






「真面目だねぇ、2人とも」







と、何気なく呟いて。






弟が苛立った原因……エルネスタのことを考えた。






自分で言うのもなんだが、それなりに自分たち兄弟は良い見た目を持って生まれたと自負している。







そっと微笑みを浮かべて甘い言葉の一つもいえば、女性は赤い顔に可愛らしい笑を載せてくれたのだが。







「終始真顔だったな……」






唯一表情が変わったのは、アルバートが迫った時か。






なかなか面白い少女ではある。







自分に一瞬だけ見せた、反抗的な瞳。






その奥を、知りたいと思った。






権力になど興味ないが、彼女を手にするというのはなかなか面白いかもしれない。







「……飽きなさそうだし」








ふっ、とかすかに笑いつつ、彼女に振り払われた手を見る。






この振り払われた手を、今度は彼女から握らせてみるのも悪くない。







そんなふうに感じつつ、彼は明日のことを考え始めた。