おしゃべりな大臣が下がると、豪華な装飾をつけた、これまた豪華な服を着た男性が歩み出た。







ヒゲを蓄えたその姿は、まだ若いお父様に比べ、おそらくふた周りくらい歳が離れているのではないか。







けれど、歳を感じさせないほど目はハッキリとし、背筋はすっとのび、荘厳としてそこに立っていた。






…………………荘厳って言葉あってるのかな?






なんか違う気がする………まぁいっか。







とりあえず、王様なんだろうなと一見してわかる佇まいの彼は、すっとお父様に会釈すると、不敵に微笑んでから挨拶を始めた。





なんでも、マギー曰くこちらの国は、東側でうちの国についで強大国らしい。





それでお父様も許したのだろうか?





お父様は時に掴みどころがないから、彼の考えていることはわからない。






つらつらと流れるように話している王様は、それでもなんというか、目上の人の気を悪くしないよう、お父様の顔色を伺っているようにも見えた。








これまた長くなりそうだなぁと、王様から視線を外す。






その先にある大きな窓から、小鳥たちがたくさん中を覗いていた。








『ねぇみて、王様』





『なんていうか、おじいさんだね』





『でも怖そう』





『うん、なんか、頑固じじいって感じ!』






その小鳥たちの言葉に、言えてると少しだけ笑いそうになった。







『あの頭地毛じゃないよね』





『うん、被ってる』





『めくってみる?』




『それはダメだよ、シンディ様が困っちゃう』





『でも気になるよ、うっすら光ってるもん』






ちら、と横目で王様の頭に視線を向けると、確かに。





王冠でほぼ隠れているが、隠し切れていない地肌が王冠と日の光を反射している。





それを見て、吹き出しそうになる。







さすがにそれはまずいので、手を口元に当ててなんとか耐えた。






これ以上小鳥たちの会話を聞いていたら確実に吹き出す自信があるので、仕方なく、しかし一生懸命に意識を面白くもない王様の挨拶にシフトした。








窓の方では、未だに王様の頭について小鳥たちが議論を交わしていた。