隣で繰り広げられるイチャイチャを右から左に流しつつ、早くこの時間が終ればいいのにと思っていたら。
お父様付きの執事が恭しく頭を下げ、お父様に何か耳打ちしていた。
なんでも、ようやく大臣との対話が終わったらしい隣国の王様が謁見の間に来るようだ。
あぁ、あの大臣は確かに話が長い。
小さい頃、じゃじゃ馬だった私は、何かしてしまうたびに大臣に説教をされた。
……………………数時間にかけて。
よくもまぁあんなに話せるものだと、幼心に感心したのを覚えてる。
2度とごめんだと思っていたら、ファンファーレが鳴った。
それを合図に、私は姿勢を正した。
別に、緊張している訳では無い。
………いや本当に。
私はよくわからないけれど、家庭教師の話しをざっくりまとめると。
この世界はだいたい西と東に分断されていて、この国は東側に位置する国の中でも一番の大国らしい。
故に、他の国はどうにかこの国との関係がほしいらしい。
何か有事が起こったとき、助力を頼める様に。
その中でも、一番手っ取り早いのは、王族間での結婚。
要するに私とどっかの王子をくっつけてしまえば、その間でなんだかんだ関係が発生する。
ただ諸国が予想しなかったのは、この国の王、お父様が中々それをよしとしなかったことだ。
まぁ普通王族で見つけるのが主流である婚約者を舞踏会、もとい民間で探す変わり者だから。
娘にもできる限り選ばせるとかなんとか。
それはありがたいし、私もそれに甘んじていた……のが甘かったな。
いきなり手のひらを返すように婚約者候補を連れてくるとは。
私は、隣国の王について、つらつらと説明をしだす大臣を見てあくびを噛み殺していた。
「……もうよい、それくらい知っている。王に対面願おうか」
と、お父様自らが進言したので、大臣は少し慌てていた。
それを見て、少しだけざまぁと思ってしまった私はもしかしたら性格悪いかもしれない。
気をつけないと。