俺が何だ?
俺自身が知らないことをこの二人は知っている?
もう頭が混乱してきた。
「コトリ君」
情報処理しきれない頭を抱え、やきもきしていると藤邦さんの声が聞こえた。
さっきとは違う穏やかな声音に、少し荒れていた気持ちが凪いで行く。
「……今の話、気になるだろうけど聞かなかったことにして」
「え、何で──」
これ以上の問いかけを拒むように、彼女は俺の唇を人差し指で押さえた。
「聞かないことが君のためだよ。世の中には知らないことがあった方が幸せなんだ」
そう言って、藤邦さんは悲しそうに笑った。
藤邦さんは絶対俺に何かを隠している。
分かっていても俺は頷くことしか出来なかった。
身体の奥の何かが隠されている真実を知るのを拒んでいたから……。



