「……何?寿永警視総監が?」
部下の耳打ちに小鳥遊は眉間を寄せながら女の方を見れば、彼女も小鳥遊達の方を見ていた。
フードで顔は見えないが、辛うじて見える口許からやはり若い女のようだ。
「刑事さん達、早く犯人を捕まえた方が良いよ」
小鳥遊が言葉を発する前に、彼女は真剣な声音でそう言った。
彼女の言葉の意味が分からず、頭を傾げる前に間髪入れず再び彼女は口を開いた。
「捕まえる協力はする。少しでも早く捕まえないと人がまた殺される。一人じゃない、何十人という人がね」
残酷すぎる言葉に、小鳥遊達は言葉が出てこない。
犯人の人物像が分かっていないにも関わらず、今後起こるかもしれない大量殺人。
それを彼女は予期している。



