「それで、この内臓ってな──」
「子宮だね」
小鳥遊の問いかけを遮るように、女の声が重なる。
声のした方を見れば、遺体の様子を真剣に見る影があった。
フードを深く被っていて顔は見えないが、声や体型、服装を見る限りまだ若い女だ。
「この切り口だと刃渡りの長い鋭利な刃物、牛刀とかが凶器かな。他の内臓に損傷がない。素人には出来ない手口だね」
検死もしていないのに遺体を見ただけで手口を言い当てている女。
しかし、此処は殺人事件の現場。
部外者が立ち入り出来るような場所ではない。
彼女を現場から出そうとした小鳥遊のもとに、一人の警官が近付いてきた。
そして、耳元で耳打ちしてくる。



