AM12:30
人々が寝静まる時間帯に、赤い回転灯を屋根に乗せたパトカーが住宅街の一角に何台も停まっていた。
黄色い規制線の前には紺色の制服に身を包む男たちが立っていて、野次馬として集まっている人々を牽制している。
「これはまた酷いな……。被害者の身元は?」
そんな彼らの指揮を執る刑事、小鳥遊は隣に立つ部下に声をかけた。
「鈴村日奈子さん、21歳。仕事帰りに襲われ、殺害されたようです」
「首を落とされて腹を裂かれた挙げ句に、内臓を抜かれて潰されたか……」
小鳥遊は遺体の横にある肉片を一瞥すると、遺体に手を合わせた。



