○○区にある廃屋。
そこが切碕達が根城にしていた場所だと母さんが教えてくれた。
俺は翔平に母さんにアリスさんへと渡されたUSBを託し、切碕の元に来た。
母さんに渡されたUSBの内容を俺は知らない。
見ようとしたら、特定のパソコンからしか見れないようにやっていて見れなかった。
でも、それはどうでも良い。
俺はやらなくてはならないことをやれれば、それで良い。
「天河君」
ふと、俺を呼ぶ声がする。
顔を上げれば、赤い瞳の男が俺を見下ろしていた。
「見て見て、今捕まえてきたんだ」
赤い瞳の男──、切碕は淡い笑みを浮かべながら髪を鷲掴みにした女の人を俺に見せてきた。
女の人は殴られたのか口の端を切っていて、その顔は恐怖に歪んでいた。
「助け、て……」
女の人が涙を目一杯に溜めて、俺を見てくる。



