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「コトリ君ー!お腹減ったー!」




あれからコトリ君から連絡が来て合流すると、私は彼の背中にタックルを食らわせる。




でも、彼はそのタックルを読んだようにかわした。





お陰で私はその場で転んだ。




「だっ!避けるなんて信じられない!」




「自業自得ですよ。ほら、掴まってください」




苦笑いを浮かべながらも、彼は私を立たせようと手を差しのべてくれる。




大きくて暖かい手はいつも優しい。




そんな手を握って、私は立ち上がった。




名残惜しいけど立ち上がったことで彼はその手を離して、ジーンズのポケットに突っ込んだ。




「今日はアリスさんが好きなビーフシチューにしますね。大きく切ったジャガイモを入れて」





彼はいつも優しい。




だから、気付けなかった。




翌日、彼は何も言わずに私の前から姿を消した──。