「母さん……、俺……まだ死になくない……」
この年になって、母親の胸で弱音を吐くなんてなんてカッコ悪い。
でも、もう感情が押さえきれない。
「ごめんね、天河……。ごめんね……」
母さんは声を震わせながら何度も俺に謝ってくる。
母さんは悪くない。
かといって、誰かが悪いわけでもない。
ただ、皆誰かに愛して欲しかっただけ。
それが間違った方向に行ってしまっただけだ。
死ぬのは怖い。
でも、それ以上にもう大切な人を失いたくなかった。
もう迷うつもりはない。
だから、今だけは……。
俺は頬に溢れた涙が伝うのを感じながら、目を閉じた。
瞼の裏には大切な人達の笑顔が浮かんでいた──。



