「君は確か潮の……」




「初めまして、小鳥遊天河と言います。こっちは姉の七砂です」




「……どーも」




なず姉はアリスさんと親族ということで気に食わないのか、彼を睨んでいる。




藤邦にこんな風に喧嘩を売れるのは多分この世でなず姉位な気がする。





そんななず姉の反応に、院長先生は嫌な顔をせずに笑っていた。





「君は喧嘩っ早い頃の星司君に似ているね」




むしろ、なず姉の肩を叩きながら笑い声を堪えるように肩を震わせている。




「いやー、あの頃の彼には随分手を焼かされたよ。喧嘩番長のくせに勉強は出来るし、スポーツも出来る。私が霞んで霞んで……」




「叔父さん、ヤンキーでも文武両道だったっていう話はもう良いよ。元ヤンなのは変わんないし」




アリスさんは詰まらなそうにため息を吐くと、院長先生をなず姉から離した。





え、この人も元ヤンなの?




眼鏡をかけた真面目そうなこの人が?




意外すぎる……。




俺は父さんと同種の人がまだいたのかと驚いていた。