もう一人の≪僕≫が切碕にバイクで突っ込んだせいで、腕が焼けるように痛む。
でも、別に構わない。
俺が怪我するだけで、アリスさんの大切な人を殺されずに済むのなら。
それにしても、驚いた。
≪僕≫が俺の気持ちを尊重してくれるなんて。
≪僕≫の中でも何か心境の変化があったらしい。
まあ、でも、とりあえず今は──。
「そういうと思ったよ、天河君。じゃあ、仕方ない……」
切碕は残念そうな顔をしたが、一瞬にして楽しそうな顔になった。
その直後、切碕は地面を蹴り、目にも止まらぬ速さでアリスさんと風間さんに接近する。
「天河君を仲間に出来ないなら先に裏切り者を殺そうか、朱鷺」
切碕の手には怪しく光るナイフが握られている。
「アリスさん!風間さん!」
俺は二人に駆け寄ろうとしたが、行く先を母さんに阻まれた。



