「突っ込まないと止まりそうもなかったからね。強行手段だよ」





「天河君にしては珍しく野蛮なやり方だね」




切碕の言葉に、小鳥遊君はクスクスと笑いながら立ち上がった。




……おかしい、小鳥遊君はこんな笑い方をする奴だったか?





疑問に思っているのは俺だけじゃないらしく、切碕も不思議そうな顔をしていた。





「……初めまして、切碕ヒカリ。僕はもう一人の天河──お前が必要としている殺人鬼としての小鳥遊天河だよ」





つまり、ジャック・ザ・リッパーとしてのDNAが目覚めた小鳥遊君ということか!?




すると、切碕は楽しそうに笑った。





「あっはははは!目覚めたんだ、天河君!さあ、僕達とおいで。一緒に殺戮を行おう」




切碕は小鳥遊君に手を差し伸べた。





「そうだ、手始めにその裏切り者を一緒に殺そうか」




小鳥遊君が仲間になると確信があるのか、切碕は赤い目を俺に向けてきた。




やっぱり、俺を見てなかったわけではないのか。





俺は無意識に痛む腹を押さえると、目の前に華奢な体が現れた。




「アリス……?」





俺の前に現れたのは裏切ってでも守りたかった彼女だった。