「……あの時以来だね」




声はコトリ君のモノだけど、雰囲気はやっぱり彼とは違う。




でも、何故か今は前みたいな狂気は感じられない。




「コトリ君は?」




「中にいる。安心してよ、別にずっと僕が出てる訳じゃない。この追いかけっこが終われば、天河に代わるから」




そう言って、もう一人のコトリ君は追いつくために更にスピードを上げる。




が、前を走る切碕の仲間の一人がライフルを構えるのが見えた。




「コトリ君!」




「チッ!分かってる!」





彼は舌打ちをつくと、急に脇道に入った。





荒々しく人のいない脇道を抜けると、コトリ君は私をチラリと見る。