「アリスさん……」
俺は切碕の言葉に引っ掛かりを感じながらもアリスさんに近付いた。
アリスさんは目元を袖で拭うと、俺の方を見上げる。
「お腹すいたし帰ろうか、コトリ君」
無理に笑っている彼女の姿に胸が痛んだ。
でも、何て声をかけたら良いか俺には分からなかった。
大切な人を殺したのが、大切な人だった。
その事実は酷すぎる。
「はい……。夕御飯は何食べたいですか?」
「んー、ハンバーグとか?でも、あっさり食べたいなー」
「じゃあ、豆腐ハンバーグにして大根おろしと大葉を添えますよ」
もっと気の利いた言葉をかけれれば良いのだけど、何て言葉をかけれれば良いか俺には分からない。
相変わらず、俺は無力だ──。



