でも──。
「君はコトリ君じゃない。早くコトリ君を出して」
私の言葉に、もう一人の彼の顔に一瞬悲しみが映る。
今の顔って……。
でも、すぐに薄気味悪い笑みを浮かべた。
「それは無理だよ。やっと出てこれたんだから一人や二人殺したいんだ」
「それはコトリ君に望んでいることじゃない。コトリ君、聞こえてるなら早く出ておいで。こいつに好き勝手やらせるつもり?」
私は中にいるであろうコトリ君に語りかける。
「うるさい口だね」
もう一人の彼は煩わしそうに顔をしかめたかと思うと、私の口を自分のそれで塞いできた。
突然落ちてきた柔らかな感触に驚いたけど、私は思い切り合わさった彼の唇を噛んだ。



