「く……っ」




「天河!」




気が抜けたのか体から力が抜け、倒れそうになる。




でも、翔平が抱き止めてくれた。




「天河!」




「コトリ君!」




翔平が横にしてくれているとアリスさんとなず姉が駆け寄ってきた。




父さんも部下に「救急車を!」と指示を出しながら駆け寄ってくる。




皆、俺を心配そうに見ている。




刺された場所が痛い。




でも、そこ以外にも何処かが痛い。




何処が痛いんだ?




『痛いんじゃなくて、苦しいんだろ?』




またお前か……。




また現れた俺の中の≪僕≫に何とも言えない気持ちになった。




コイツは何故か俺が弱くなったときに出てくる。




まるで、体を乗っとる機会を探るかのように。