「噂?」
和泉は資料をテーブルに置くと、翔平を見た。
和泉には翔平が協力者になったことは伝えてあるし、翔平には和泉のことも話してある。
だから、お互いに不思議に思うことはない。
「ああ。朽月が援交して妊娠しただの、天河との仲を妬む奴らにボコられて重傷で入院だの、色んな噂が飛んでるよ」
翔平はスプーンを加え、歯でカチカチと上下に振りながら答えた。
「何だよ、それ……」
「まあ、その噂を流してるのは天河の隣にいるポジションを狙ってる女達みたいだけどな」
いてもいなくても莉瑚はいつも俺の隣にいる幼なじみのレッテルが貼られ、悪くしか言われない。
多分、俺が好きになってくれないストレスと悪口のストレスで莉瑚はあんな凶行に走ってしまったのかもしれない。
何で俺は気付けなかった?
本当に今でもそれは悔やまれる。
──っていうか。