「なず姉……」
沈んだ声で呼べば、なず姉の顔色が変わった。
「もしや、あの女にいじめられたか!?あんのクソお嬢め……」
え、なず姉何か誤解してる?
俺は誤解を解こうと立ち上がったが、遅かった。
既になず姉は玄関に靴を脱ぎ散らかし、リビングへ怒鳴り込んでいた。
「藤邦アリス!またうちの弟をいじめたな!?」
やっぱり、誤解してるし!
なず姉はリビングに入るなり、アリスさんに詰め寄った。
「お帰り、なっちゃん。お疲れ様、お茶いる?」
「ただいま。ああ、頂こ──じゃない!勝手に茶を入れるな!キッチンが壊れる!じゃなくて、あー!」
なず姉はアリスさんのペースに乗せられそうになりハッとするが、結局おちょくられたのだと分かって髪をグシャグシャと掻き回す。



