「……私に名前を貰った朱鷺は幸いなのか不幸なのか、人を殺せるようになった。存在も認められ、私が傍に置けるまでに力を上げた」
朱鷺の存在が認められたのは良かった。
でも、私は人を殺して欲しくなかった。
私が名前を与えなければ、朱鷺は人を殺さないままだった。
だけど、名前を与えなければ朱鷺はどうなっていたか分からない。
ふと、コトリ君の手が私の手に触れた。
和真よりも少し大きくて、少し骨っぽい白い手。
その手はやっぱり、優しい温もりを持っていた。
「多分、風間さんは不幸なんて思ってないと思いますよ」
「え?」
「自分が不幸だと思っていたならアリスさんの傍にいませんよ」
コトリ君の言葉に、言葉が出なかった。



