「……それは多分目覚める予兆だよ。目覚めたら最後。彼は──」




「分かってる。だから、あたしはこの仕事に就いたんだ」



私の言葉を遮るようになっちゃんが言葉を被せてきた。



その言葉には迷いのない真っ直ぐな意志が込められているように思える。



私は彼女の言葉に口角を持ち上げると、屋上の出口へと歩き出した。



なっちゃんと小鳥遊さんの脇を通り過ぎる時、二人からは同じ匂いがした。



これから起こる悲劇を阻止するために犠牲となる家族を悼むような悲しみの匂いだ。