「アリスさん!」 隣にいるのに俺は動けない。 アリスさんは逃げることもナイフを受け止めるような素振りもしない。 それどころか、殺されるかもしれないというのに彼女は悠然と立っている。 「……君に良いことを教えてあげる」 「は?」 ナイフを振り上げる莉瑚は怪訝そうに眉をひそめる。 「人を殺して良いのは殺される覚悟と憎まれる覚悟のある奴だけだよ」 アリスさんの冷たい声音と共に、莉瑚の動きが止まった。 と思えば、ナイフを握る莉瑚の腕が地面に転がる。