いや、違う。 俺だけがまた知らなかったんだ。 アリスさんは俺を傷付けまいと隠し、俺の隣に心を守ってくれていたんだ。 幼なじみの凶行にも気付けず、守ってくれている女の人には守られているだけの俺。 情けないこの上ない。 「出たな、藤邦アリス。私が一番殺したい女」 「だろうね。良いよ、殺してみなよ」 「言ったな……」 莉瑚は舌舐めずりをすると、柳に向けていたナイフをアリスさんに向けた。 そして、地面を蹴り、アリスさんにナイフを振り下ろそうと持ち上げる。