「……しっ。静かにして、コトリ君」
耳元で囁く声はアリスさんのものだ。
「……朱鷺、動き出したよ。行くよ」
アリスさんは俺の口から手を離すと、風間さんを呼ぶ。
彼女に呼ばれた風間さんは音もなく現れると、ベランダから庭に飛び降りた。
アリスさんもベランダから飛び降りようと身を乗り出す。
「アリスさん、待ってください!俺も行きます!」
声を潜めつつ、アリスさんに同行を願い出た。
でも、彼女は険しい顔をする。
「コトリ君、今からのことは君にとって酷なことだよ。それでも行く?」
アリスさんの真剣な眼差しがただ事では無いことを物語っている。



