「──それから一年後に七砂が生まれて、四年後には天河が生まれた」




父さんはそう言って、息を吐いた。




初めて聞いた父さんと母さんの馴れ初め。




母さんが人を殺していたことに驚いたが、出生の理由を分かってからは自然と納得してしまった。




父さんもそんな母さんを最後は受け止めて、愛するなんて凄いと思った。





「母さんと結婚するの反対はされなかったの?」




「不思議とされなかったよ。……まあ、事情を知ってる人達は複雑そうだったがな」




父さんは苦笑いを浮かべる。




そりゃあ、そうだろう。




将来を期待されたキャリア組の父さんが結婚相手に選んだのが、人を殺すためだけに生み出された母さんだったんだから。




そんな期待よりもたった一人の女の人を選んだ父さんを俺は改めて尊敬した。




……元ヤンなのには驚いたけど。