「アンタの苦しみを、悲しみを知らずに勝手なことを言った。済まない……」
腕の中で切碕潮が肩を揺らした。
謝った所で彼女の気持ちが軽くなる訳じゃない。
そんなことは分かってる。
「……温かいよ、アンタ。生き方は違えど、アンタは俺達と同じ人間なんだよな……」
抱き締める切碕潮の体はとても温かい。
人を殺すために生きているとは思えないほどに……。
ふと、背中に腕が回される。
「……私にそんなことを言ったのは君が初めてだ」
切碕潮がその細くて華奢な腕を俺の背中に回しながら、震えた声でそう言った。
この時から俺は切碕潮と当たり前のように距離を縮めていく。



