俺もその噂を知っていたが、信じていなかった。
法の裁きを出来ない人間を裁く人間なんているはずがない。
法で裁けない人間を法で裁けるように動くのが俺達の役目だ。
そう思っていたのに……。
「その人は?」
血に濡れた得物を手にその身を赤く染めているのに、静かな声音の女。
本当に法で裁けない人間を裁く人間は存在した。
「紹介しよう、小鳥遊。この者は切碕潮、ジャック・ザ・リッパーのDNAから作られた人間だ」
先輩刑事の紹介に、その女はその整いすぎた顔に笑みを浮かべる。
俺は血濡れているのに笑っているその女が恐ろしいのに、何故か目が離せなかった──。



