「息子って、切碕……?」




黛が珍しく動揺しながら切碕を見るが、彼は潮の髪を指に巻き付けながら遊んでいるままだ。





でも、彼の言葉は聞こえていて、視線を向けずにその問いに答える。




「僕には絶望して、目覚めた後に夜間徘徊して出逢った女との子供が二人いるんだよ。あ、今は一人か」




切碕は潮の膝から体を起こすと、背伸びをする。




「あ、ついでに≪アレ≫も戻って来させるか」




「……切碕。貴方、本当に殺されるわよ。今回のことはアリスちゃんだけでなく、依良君にも周君にも恨まれるわ」





潮の警告に、切碕は口角を持ち上げた。





「構わないよ。僕は僕が楽しければ良いんだから」




目を細めると、彼の紅い瞳が妖しく光った。




まるで、面白い遊びを見つけた子供のような目だった。