「……ホントにその言い方、和真にそっくり。さすが、兄弟」
和泉を今は亡き婚約者の姿と重ねたのだろう。
アリスさんはあれだけ不機嫌そうな顔だったのに、和泉の言葉で穏やかな顔になっていた。
和真さんは亡くなってから何年も経つ今でも大きな存在のようだ。
……チクリ。
ふと、胸が痛んだ。
「?」
痛みの理由が分からず、胸を押さえると柳が心配そうに俺を見てきた。
「どうしたの?」
「いや、何でもない」
そう返したけど、胸の痛みの理由は分かっている。
でも、素直にそれを認めることは出来ない。
彼女には永遠に別れてしまっても想っている彼がいるから──。



