「どうした、天河。何か疲れてない?」 さすがは和泉。 医者を目指してるだけあって、洞察力が鋭い。 前を歩く三人の相手をして疲れるのはいつものことだけど、今日は更に今朝の夢が追い討ちをかけている。 「いや、今朝の夢見が悪くてさ」 「夢?」 「何か俺が昔のロンドンにいて、人を殺す夢だったんだ。何もかもリアルで気持ち悪かった」 「まあ、そんな夢もあるよ。第一、夢じゃなかったら天河が人を殺すなんてあり得ないよ」 和泉の言うとおりだった。 俺が人を殺すなんて天変地異が起きない限りあり得ない。