「玖下さんは──」




「勝手に殺さないでくれるかな、才暉」





何処から現れたのか、玖下さんは不機嫌な声と羽取さんの横に立った。





そんなことをしているうちに、アリスさんが着陸したヘリから風間さんと共に現れる。





「──それで、君達は彼に何の用かな?」





低く、問い詰めるような冷たいアリスさんの声に学生達は息を飲む。





でも、一人の男子学生が口を開いた。





「殺人鬼に小鳥遊天河を渡すんだよ。そうすれば、俺達は殺されなくて済む」





「で、それを信じたんだ、君達は?」





「信じるに決まってんだろ!?いきなりワケわかんないことに巻き込まれて、捕まったら死ぬ?理不尽だろ!?こいつを差し出せば、助かるんならそれにすがるしかない!」





男子学生の捲し立てるような言葉に、アリスさんは短く息を吐いた。





「甘いよ、その考え」




アリスさんの言葉に、男子学生は険しい顔をする。




「切碕がそんなことで君達を見逃すわけがない。彼を連れて行っても、連れて行かなくても待っているのは死だよ」





学生達に動揺が走る。




それもそうだ、俺を連れて行っても、行かなくても殺されるなんて理不尽なことを言われたんだから。