「くぁー、長かったー」 講義が終われば、大あくびをしながら背伸びをする翔平。 「ほとんど寝てたくせによく言うよ。私らは起きてたもんねー、知栄」 「辛うじてね」 そう言う莉瑚と柳だって、俺に起こされてたくせに……。 俺はため息を吐きながら、馬鹿騒ぎをする三人(柳は騒いでない)を後ろから見ていた。 「何ため息吐いてんの、天河」 ふと、後ろから声をかけられて肩を叩かれる。 振り返った先には高校からの友人で、同じ大学の医学部に通う志岐和泉(シキ イズミ)が穏やかな面持ちで立っていた。