「……うるさい、広瀬君」 俺達が近付けば、寝ていた柳は翔平の声に起こされたのか不機嫌だった。 でも、俺達の姿を見つけて、フニャッと笑った。 「あ、莉瑚に小鳥遊君。おはよー」 どっちかっていうと気の強い莉瑚に対して、柳は穏やかな子だ。 でも、気分屋なのは莉瑚と似ていた。 現に起こされて不機嫌だったのに、莉瑚を見つけては猫がすり寄るように抱きついている。 「莉瑚、今日も女の子の匂いがするー」 「知栄、私、女だから」 柳の言葉と莉瑚の突っ込みに、俺と翔平は笑っていた。