「アンタらも壊されたくないなら早く引いた方が良いよー。……まあ、壊さなくても報道規制にすることなんか造作もないけど」




アリスさんのいつもあっけからんとした言葉とは裏腹に、その言葉には脅迫的な雰囲気が感じられた。




報道陣達は顔を見合わせると、機材を片付けて足早に去って行く。




「さーて、面倒な奴らがいなくなったし帰ろうか」




グッと背伸びした彼女は俺の方を振り向くと、ニッと笑った。




「すみません、アリスさん。ご迷惑をおかけして……」




「なーに、気にしないでよ。それに、迷惑だったら無視するし」




親指をグッと立てて、ウインクをしたアリスさんは誰もいなくなった道を歩き出した。




俺もその後をついていく。




アリスさんは何も言うことなく、家への道のりを歩いている。




でも、彼女に何か話して欲しいわけでもない。




かといって、俺が何か話したいことがあるわけでもない。





すると、突然アリスさんが足を止めて、俺の方を振り返った。




ん?どうしたんだろう?





疑問を感じているとアリスさんはカツカツと俺に近づいてきて、頬をつねってきた。