数日後。




曇天の空の下、琴梨さんの葬儀が行われた。




遺影の琴梨さんは着物姿で笑っている。




多分、成人式の時の写真だろう。




「琴梨いぃぃ!ああぁぁ……っ」




泣き崩れる琴梨さんのお母さんの肩を琴梨さんのお父さんが抱く。




琴梨さんは一人っ子で、ご両親は一人娘の彼女を溺愛していた。




そんな最愛の一人娘を失ったご両親の悲しみは計り知れない。




俺は焼香を済ませると、棺桶の中で眠る琴梨さんを見た。




今でこそ、死化粧のお陰で綺麗になっている琴梨さんだけど発見時は直視出来ないほど酷い状態だった。





両目は抉り取られ、口を切り裂かれ、身体は傷が無いところが無いほど滅多刺しにされていたらしい。




「琴梨さん……」




昨日までは普通に話して笑っていたのに、今は動くこともなく静かに目を閉じている。




俺は奥歯を噛み締めると、ご両親に合わせる顔がなくて踵を返す。




ご両親は何か俺に言いたげだったけど、気付かないふりして斎場を後にしようとした。




でも、斎場の入り口にはたくさんの報道陣がいて、簡単には抜け出せそうにはない。