「……本当に下衆ね、貴方は」
服を着て外に出ていった女を横目に、服を着ていた男に彼の姉が声をかける。
「こんなことして、天河がキレても私は知らないわよ。あの子はその子が大事なんだから」
「でも、その大事は恋じゃない。彼にとっては大事な幼なじみだろうけど、この女には彼は最愛の人だ」
「……それを利用するなんて、本当に下衆ね」
彼女に二度目の暴言にも関わらず、彼は怒りを露にすることはない。
彼にとって彼女は姉であり、母でもある。
物心ついた頃から彼にとって彼女はそういう存在だった。
「潮姉さん」
男はソファーに移動して彼女を手招きする。
彼女には彼が手招きする理由が分かっているから言われた通り近付くと、ソファーに座った。
そんな彼女の膝に当たり前のように男は頭を乗せて、寝転がる。



