「天河の元カノ。ただでさえ、あの女が邪魔だったのに、元カノが出てきたから余計に邪魔」
女は忌々しそうに眉をひそめると、煙草のフィルターを噛む。
最愛の青年の初めてを全て奪った元カノ。
初めての彼女もキスもそれ以上のことも全てをあの元カノに奪われた。
殺気立つ彼女を男は後ろから抱き締めた。
そして、耳元で甘く囁いた。
「アリスちゃんは消してあげられないけど、その元カノなら消してあげられるよ?」
その甘い声は彼女が愛する青年によく似ていて、全身を粟立たせる。
「消すのはあたしがやる……。ただ、貴方は力を貸して……?」
女は身体を反転させると男の首に腕を回し、その形のいい唇に引き寄せられるように唇を重ねた。
彼女は青年に愛して欲しかった。
ただの幼なじみとしてではなく、一人の愛しい女として。
でも、彼の目に映るのは違う女。
愛しさの滲む熱っぽい眼差しを向けられるのは自分ではない女……。



