とある廃屋に夏の生温い風が流れ込んだ。
カーテンを揺らし、廃屋には不釣り合いな豪華な天蓋ベッドに寝そべる二つの影の頬を撫でる。
「本当にイライラする……」
影の一つである女は衣服を身につけない身体を起こすと、薄手の布団を手繰り寄せる。
そして、近くに置いておいた煙草を一本取って咥えるとライターで火をつけて、ふぅーと息を吐く。
口から吐かれた紫煙が風で横に流れた。
「イライラする原因は?」
女の隣に寝ていた男は身体を起こすと、女を抱き寄せる。
男も衣服を身につけない。
二人がどんな関係で、何をしていたかは誰にだって見当はつく。
しかし、二人は恋人同士でも、そう言ったことをするためだけの関係でもない。
二人はただの協力者だった。
一人の青年を手に入れる為だけの……。



