「だって、元カノがどんな人か気になるじゃない!生真面目人間のコトリ君が好きだった人がどんな人か!」
「帰ってください」
やっぱり、アリスさんに少女漫画的な展開を期待しなくて正解だったな。
俺はアリスさんの手を掴むと、喫茶店の外に放り出した。
そして、琴梨さんの所に戻り、伝票を手に取る。
「ゴメン、琴梨さん。俺、行くね。会計は俺が払っておくから」
早口でそう告げると、アリスさんが座っていたテーブルからも伝票を取ってレジへ向かおうとした。
「天河君、あの人が好き?」
すると、琴梨さんが俺を見上げてきた。
俺がアリスさんを好き?
「……分からない。でも、一緒にいて楽しいよ」
それだけを言い残して、レジへと向かった。
「楽しい……ね……。私にはあんな顔したことなかったのにね……」
喫茶店を出て、アリスさんと並んで歩く俺を見て、琴梨さんが悲しそうに呟きながら静かに涙を流していることを俺は知らなかった。
この再会が琴梨さんに襲いかかる悲劇を引き起こしてしまった。
琴梨さんがあんなことになるなら再会なんかしなければ良かった。
どうやら、神様はあまりにも残酷な結末を望んでいるようだ。



