「安定期に入ったばかりだからもう少ししたら公表しようとしたのに……。あの二人に話した俺が馬鹿だった」
「確かにあの二人に話したら、すぐに広まるよ。でも、信頼してるからあの二人には話したかったんでしょ?」
篠原さんは項垂れる理事長の頭を子供をあやすように撫でた。
そんな愛しい人の行動に苦笑いを浮かべた理事長はその手を握ると、反対側の手で彼女のお腹に触れる。
「……冬雪は何でもお見通しだな」
うーん、目の前でいちゃつかれるのも何とも言えないな……。
そんなことを思っていると、ピンクの空気を纏う理事長達にアリスさん達が接近する。
そして──。
「いやー、まさか子供が出来てるとはね。いやー、めでたいめでたい」
「五年長かったからなー。てか、五年前に一晩一緒にいて、手を出さないのが素晴らしいな」
「……お前ら、話す内容と場所を考えろ。場所を」
「えー、別に良いじゃん」
「そうだそうだ、依良が付き合うまでは生真面目だけど、付き合ったら本当はオオカミだったって話だけなんだから」
「だから、それを止めろと言ってるんだ!」
また理事長とアリスさん達のじゃれあいという名の喧嘩が始まった。



