「これはこれは……」
「うわぁ……、真っ黒じゃねぇか」
データを後ろから覗き込んでいた才暉が顔をひきつらせながら、ぼやく。
怪しいと思ってたけど、まさかこんなに真っ黒だったとはね。
「どうする、アリス?これが彼に知れたら、彼は──」
「何が何でもこっちに引き戻そうとするだろうね。でも、もうコレは手遅れ」
パソコンから視線を外すとポケットからスマホを取り出して、電話を掛ける。
「もしもし、私だけど。そっちはどう?……ふぅん、やっぱりね。あー、面倒だろうけど、引き続きよろしく」
電話を切ると、アドレス帳からまた違う連絡先を探す、
「誰にかけたんだ?」
「摂紀だよ。大学の中の情報を和泉が上手く仕入れてくれてるみたいで、なかなか手強いみたい」
朱鷺の問いに答えながら目的の連絡先を見つけ、そこへと電話をかける。
「もしもし、私だけど。今日は君に頼みがあってさ。うん、君にしか出来ないことだよ」
電話の相手は眠そうな子供みたいな声で話しているから、つい私もあやすような穏やかな声になってしまう。
でも、恐らく次言う私の言葉で、その眠気は吹っ飛ぶはずだ。



