こんな風にタックルを食らわせてくる馬鹿は一人しかいない。



俺はイヤホンを外すと、首を捻って後ろの馬鹿を見た。



「いい加減タックルは止めろって言ってるだろ、莉瑚(リコ)」



呆れながら睨み付けると、馬鹿──莉瑚は意地悪そうな笑みを浮かべていた。




「転ばないんだから良いじゃん。それに、朝に天河にタックルを食らわせないと朝じゃない気がするし」



変な理屈を言ってドヤ顔をする莉瑚と俺は家が隣同士の幼なじみで、幼稚園から大学まで一緒の腐れ縁。



ついでに言えば親も警察の同期だし、大学の学科まで一緒。




……腐れ縁にも程がある。