「言っただろ、君は俺の命に換えても守るって」




駄目だ、和真はもう私を守るためにヒカリに殺されるつもりでいる。




私はその通路に上がるための階段をかけ上がった。



「ヒカリ、和真を殺してみろ。私がお前を殺してやる」



「それは楽しみだね」




ヒカリは楽しそうに笑うと、左手のナイフに力を入れても込めた。




首の皮膚が切れ、血が伝う。




「お願いだから和真を殺さないで!和真は私の──」




「殺さないわけ無いだろ。君を絶望させるためには一番手っ取り早いんだから」




そう冷たく言い放つと共に、ヒカリは血の伝うナイフを一気に引き下げる。



切り裂かれた首から血が吹き出し、離れた所にいる私まで赤く染めた。




首を引き裂かれた和真は淡い笑みを浮かべながら私の方へ手を伸ばしてきた。




私もその手を掴もうと伸ばす。




ふと、笑みの浮かぶ和真の口許がパクパクと動いた。




声は聞こえない。




それでも私にはしっかり聞こえていた。




『愛してる』




そんな言葉が──。