「摂紀は兎も角、律生は人を守れるような奴じゃないでしょ。まったく、お母さんは何考えてるのやら……」
年子の兄弟である摂紀と律生は顔が似ているけど、性格はまったく異なる。
穏やかで気遣いの出来る摂紀に対し、律生は残虐的なことを平気で出来る。
もし、律生が依良に何か危害を加えれば、藤邦と寿永の信用に関わる。
「周はその事に関して何て?」
「『二人とも優秀だし、いいんじゃね?』だって」
周の声を真似して答えた和真とあっけからんとする周の言葉に、無性に腹が立った。
ああ、頭が痛くなる話だ……。
眉間に指を当てて揉みほぐしながら、通路を歩いていると向こう側から赤目の彼が歩いてきた。
「眉間を押さえてどうしたの、アリスちゃん?」
「ちょっと頭痛がしてね。ヒカリこそ、何処かに行ってたの?」
赤目の彼──、切碕ヒカリは私の言葉に、スッと目を細めた。
「……ちょっと私用でね、外に出てたんだ」
その笑みと呼ぶには不気味な表情に背筋がぞくりとなった。
私は無意識に隣の和真の服の袖を掴んでいた。



