「それより、私に用があって此処まで来たんじゃないの?」
余程の用が無い限り、和真があそこまで来るはずがない。
あそこは藤邦でもごく一部の人しか入れない場所だから。
私の問いに、和真ははっと思い出したように手のひらをポンと叩く。
「忘れてた!周さんから君へ伝言があったんだ」
「周から?」
「そう。前に入った兄弟……何て言ったかな?」
前に入った兄弟?
兄弟で入ったのならあの二人しかいない。
「摂紀と律生?」
「そう!その二人!」
思い出してスッキリしたのか、彼はもう一度ポンと手のひらを叩いた。
「で、その二人がどうしたの?」
「その二人を依良様の護衛役にするっておば様が決めたらしいよ」
依良の護衛?
まあ、依良のお母さん──、紗良さんは仕事のやり方がアレだから恨みは買いやすいけど、よりにもよってあの二人……。



