≪アリス side≫
今から六年前──。
私には婚約者がいた。
「また此処にいた。こんなところにいたら、おば様に叱られるよ」
私の後ろに立って、穏やかに笑う男の子。
名前は志岐和真(シキ カズサ)。
藤邦の親戚筋の息子で、和泉の兄。
そして、私より一つ下の婚約者──。
「別に叱られても怖くない。私には藤邦がやってること以上に怖いことはないよ」
私は和真にそう告げ、目の前の水槽のガラスに触れた。
水槽の中には≪作られた人間≫の失敗作が沈められていて、そういった水槽がたくさん並んでいる。
失敗作のそれらは水槽の中に沈められ、その心臓が止まるまでそこにいさせられる。
心臓が止まれば、死と見なされて火葬されて埋葬される。
それまでは水槽の中にいるしかない。
たとえ、人の形をしていなくても心臓が動いている限りはそこにいるしかないのだ。
今から六年前──。
私には婚約者がいた。
「また此処にいた。こんなところにいたら、おば様に叱られるよ」
私の後ろに立って、穏やかに笑う男の子。
名前は志岐和真(シキ カズサ)。
藤邦の親戚筋の息子で、和泉の兄。
そして、私より一つ下の婚約者──。
「別に叱られても怖くない。私には藤邦がやってること以上に怖いことはないよ」
私は和真にそう告げ、目の前の水槽のガラスに触れた。
水槽の中には≪作られた人間≫の失敗作が沈められていて、そういった水槽がたくさん並んでいる。
失敗作のそれらは水槽の中に沈められ、その心臓が止まるまでそこにいさせられる。
心臓が止まれば、死と見なされて火葬されて埋葬される。
それまでは水槽の中にいるしかない。
たとえ、人の形をしていなくても心臓が動いている限りはそこにいるしかないのだ。



