「依良がいつまで経っても摂紀を貸してくれないから無理矢理借りてくから」
「待って、アリス。訳を言わずに玖下を貸せと言われても困る。先ずは訳を話して」
「詳しくは夜に話す。周にも話さないといけないし」
状況を読めない俺はちんぷんかんぷんだし、何で和泉まで連れて来られたのか意味が不明だ。
「……分かったよ。玖下、アリスの所に行って良いよ。俺の補佐は母さんから借りて彼女にやってもらうから」
「御意」
玖下と呼ばれた男の人は恭しく理事長に頭を下げると、こっちに向かって歩いてきた。
「コトリ君、紹介するね。彼は玖下摂紀、今は依良の付き人をしてるけど、元は朱鷺達と同じ役割をしてたの」
風間さんと同じということは作られた人間?
「玖下摂紀と申します。話は朱鷺から聞いてます」
恭しく頭を下げる玖下さんに、後ろから理事長の「聞いてた!?」と驚いたような声が聞こえた。
でも、彼はそれをスルーして、俺達を理事長室から出した。
「依良様に話すのはアリス様の役割ですので、私は知りません。では」
彼は顔だけ理事長室に突っ込み、それだけいうと俺達を連れて部屋を移動した。



